専門家(FP)による住宅ローンコラム 気になる住宅ローンの選び方や借り方など、最新情報を交えご紹介します。

2010年5月20日 更新 変動金利型で返済していく心構えと対策

高田 晶子

相談現場においても、最近は、変動金利型で借入れしようと思っている人が大半です。さらにそのうち多くの方が、「金利が上昇したら固定に変えればよい」と考えているのですが、前回のコラムで、他の金利タイプへの切り替えは意外に難しいことをお話ししました。今回は、変動金利型を借入れした場合には、どのような心構えで返済に臨めばよいのかを考えてみることにしましょう。

●途中で固定金利型へ変更したい場合

「この1、2年は金利は上昇しないだろうから、その期間くらいは変動金利型を使いたい」と考える場合には、金融機関選びが重要になります。ズバリ、将来変更したい金利タイプで、比較的低い金利を持っている金融機関を選んでおくことです。参考になる例を挙げて見てみましょう。

<例1>基本的には10年固定や15年固定が良いと思っている

住信SBIネット銀行2010年4月の適用金利(通期引下げタイプ)

変動金利 2年固定 3年固定 5年固定 7年固定 10年固定 15年固定
1.075% 1.39% 1.49% 1.72% 1.93% 2.20% 2.57%

まず注意点ですが、「全期間一律金利引下げ」と「当初期間引下げ幅が大きい」タイプの2種類の金利引下げタイプを用意している金融機関が多くあります。変動金利型を選ぶ際、金利が低いのは、通常「全期間一律金利引下げ」の方です。そして、当初こちらの引下げタイプを選択すると、将来固定金利選択型に変更する場合でも「全期間一律金利引下げ」の金利が適用になり、通常「当初金利引下げ幅が大きい」ものよりも適用金利は高くなっています(詳しくは前回のコラムをご覧ください)。

住信SBIネット銀行は、通期引下げタイプにしては10年固定、15年固定の金利が低く、近い将来、10年固定や15年固定に変えたいと思う場合には、移行しやすい金融機関です。ただし、通期引下げタイプで選べるのは15年固定までなので、それ以上長い固定を望んでいる場合には適しません。

<例2>基本的には長期固定が良いと思っている

ソニー銀行2010年4月の適用金利

変動金利 2年固定 3年固定 5年固定 7年固定 10年固定 15年固定 20年固定 20年超
1.326% 1.448% 1.460% 1.639% 1.894% 2.236% 2.645% 2.846% 2.942%

ソニー銀行は特に固定期間が長いものの金利が低いことに定評があります。変動金利型の金利は、他の金融機関に比べると若干高めではありますが、近い将来長期の固定タイプへ移行するのであれば使い勝手の良い金融機関です。20年以上の固定ばかりでなく、10年固定、15年固定も比較的使いやすい金利でしょう。

長期の固定への変更を考えている場合には、変動金利型の金利を見るのではなく、上記のように移行したいタイプ(10年固定や20年超など)の金利を確認して金融機関を決めること、そしてその後も移行したいタイプの金利動向をウォッチしましょう。金利が上昇するときには、変動金利型よりも早く上昇する傾向にありますので、早めに決断して動くことが大切です。

●基本は、変動金利型で返しきる覚悟と対策

上記のように長期の固定へ移行したいと思える金利を持っている金融機関は、実際には少ないと言わざるをえません。結局移行はできず、変動金利型で返し続ける人が多いのではないかと思います。借換えも手段の一つですが、必ずしも借換えができるとも限りませんので、まず最低限、変動金利型で借入れしたら、金利が上昇しても変動金利型で返しきることも考えておいた方が無難でしょう。

変動金利型を使い続けるということは、金利上昇リスクを背負い続けるということですから、このリスクをいかに低減させるかが課題となります。変動金利型の主なリスクは、「金利が上昇すると返済額も上昇する」ということですから、このリスクに備えるには、

  • ・返済額が上昇しても返せる余裕を持つこと
  • ・金利が上昇した場合の影響を少なくするために、元金を減らしておくこと

が考えられる対策です。

この両方の対策を講じるにはどうすればよいでしょうか?まずは、借入れする額を、長期固定金利で返済できる年数(会社員なら定年退職までの年数など)で返済した場合には、どのくらいの返済額になるのかを試算してみましょう。

<例>35歳の人が3,000万円を借入れした場合(ボーナス返済なし、元利均等返済)

  毎月返済額
A.変動金利型1.075% 30年返済の場合 97,529円
B.長期固定3% 25年返済の場合 142,263円

例え、Aの形態で借入れをしたとしても、安全策を考えれば、Bで計算した毎月約14万円を支払える余力が必要と考えられます。Aで借入れし、もし、毎年0.25%ずつ金利が上昇していき、5%まで上昇したとすると、6年目からの毎月返済額は約11.6万円、11年目からは約13.3万円、16年目からは約15万円、そして退職時の25年後にはまだ約800万円もの住宅ローンが残ってしまいます。

Aの形態で借入れしたとしても、Bで試算した分を支払っていくと・・・。つまり、AとBの差額の約1年分にあたる53万円を毎年繰上返済していけば、同様に金利が上昇しても、6年目からの毎月返済額は約10.4万円、その後もBで試算した分との差額を繰上返済していくことにより、11年目からは約10.5万円、そして約24年で完済することが可能。結果的に総返済額もBよりも少なくなります。

急激に金利が上昇してしまった場合には、これだけでは対策が不足することもありますが、長期固定で借入れしたつもりで返済していくことによって、かなりリスクを軽減することができます。このようにマメに繰上返済していくためには、繰上返済の利便性に優れた金融機関を選ぶことも一つのコツです。繰上返済が面倒という場合には、1回目のコラムでもご紹介した、「返済額増額指定サービス」(みずほ銀行)、「定額返済プラン」(三井住友銀行)、「自動返済」(住友信託銀行)など、毎月自動的に多めの返済をしてくれるサービスを利用すると良いでしょう。

変動金利型で借入れし、変動金利型で返しきるためには、早く元金を減らすための余裕資金が必要ということがおわかりいただけたでしょうか?いくらくらい必要なのかは、金利の上昇次第ですが、長期固定の金利で、返済できる年数で試算した返済額を毎年返済していくことを一つの目安としてみてください。

※本コラムは、2010年4月末時点の情報を基に執筆しています。

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